ホテルの直接予約を増やす!効果的な予約体制の考え方

この記事をご覧になっている旅館やホテルの担当者様の施設では、どのくらいOTAに依存していますか?
OTAは強い集客力があるものの、安くない手数料が発生してしまいます。一方で直販率の向上は、OTA手数料の削減につながり、それはつまり利益率のアップにつながります。
この記事では直販での予約を拡大させるための考え方について解説していきます。
ホテルがOTAに支払う手数料
OTA経由でホテルを予約すると、ホテルはOTAに手数料を支払う仕組みです。
手数料は契約内容によりますが、代表的なOTAの手数料は以下の通りです。
- 楽天トラベル: 1名利用 7%、2名以上 8.25%、インバウンド +2%
- じゃらんnet: 1名利用 6%、2名以上 8%、インバウンド 10%
- 一休.com: 10%
- るるぶトラベル: 1名利用 8%、2名以上 10%
- Expedia: 15%
- Booking.com: 12%
国内OTAは6%〜15%の手数料で、海外OTAより安く見えますが、追加で以下の費用もかかります。
- ポイント付与費: 1〜2%
- オンライン決済手数料: 2%
- アフィリエイト手数料: 1%
例として、10,000円(税込)の宿泊料金でじゃらんnetから2名予約の場合、手数料は以下のようになります。
- 宿泊料金: 10,000円
- 送客手数料 (8%): 800円
- ポイント付与 (2%): 200円
- オンライン決済手数料 (2%): 200円
合計手数料: 1,200円
つまり、宿泊料金の1割以上が手数料として引かれます。もし、1日10件の予約をOTAから直接予約に変えられれば、1日12,000円、1年で438万円の増益になります。
直接予約を増やしてホテルの利益率を上げる方法
ホテルの利益率を上げるためには、OTAを介さない直接予約を増やすことが効果的です。直接予約を増やせば、OTA手数料を節約でき、リピーターも増えます。重要なのは、顧客目線でカスタマージャーニーを見直すことです。具体的には、ホテルを認知し、予約し、満足して再度予約する流れを見直してみましょう。
また、直販率を50%に上げるための施策として、まずは使いやすい公式サイトを作ることが大切です。顧客は、料金や口コミだけでなく、予約サイトの使いやすさも重視します。特にスマートフォン利用者が多いため、スマホでも簡単に使えるデザインが必要です。
また、公式サイトからの予約を促進するために、シンプルで使いやすい自社宿泊予約システムを導入しましょう。予約システムは、レスポンシブデザイン対応、カスタマイズ可能、多言語対応、クレジットカード決済機能付きが理想的です。外部の予約システムよりも、自社のシステムを導入することでコストを抑え、利益率を向上させることができます。
顧客が使いやすい公式サイトを作る
ホテルの直販率を上げるために、顧客目線で、使いやすい公式サイトにしましょう。
オンライン予約の顧客体験は、オンライン上に表示されたホテル情報が、顧客の目に留まることから始まります。
Hotels.comの調査でも、顧客はホテルを予約する際、ホテルの料金や口コミのほかに、予約サイトやアプリの使いやすさを重視するという結果が出ています。
特に最近では、スマートフォンユーザーが増加しています。それぞれに最適化されたホームページを作成して予約に備えましょう。
ビルボード効果を狙う
ホテルの直販率を上げるために、OTAのサイトに訪れたユーザーを公式サイトに誘導することを目指しましょう。
ビルボード効果をご存知でしょうか。ビルボード効果(Billboard Effect)とは、OTAにホテル情報を掲載すると、公式サイトからの直接予約が増える現象です。OTAで見つけたホテルを顧客が公式サイトで直接予約するため、この効果が生まれます。ある実験では、Expediaに掲載されたホテルの直接予約数が9%から26%増加したと報告されています。また別の調査でも、65%の消費者がOTAサイトを訪れてから直接予約をしていることが確認されています。
公式サイトを魅力的なものにするのはもちろん、下記のような直接予約のメリットをアピールして、公式サイトからの直接予約を後押ししましょう。
- 公式サイトでのみベストレートを保証
- 公式サイトからの予約に対して特典を提供
- ロイヤルティプログラムを提供
このようにすれば、OTA手数料を支払うことなく、OTAを販売チャネルのひとつとして活用することができます。
OTAサイトの口コミを分析する
OTAサイトの口コミを分析も重要です。
じゃらんや楽天トラベルなどのOTAサイトには、ホテルに対するレビューが多く書き込まれています。
オンラインでホテルを予約するユーザーの多くが、こういった情報を参考にしているため、特にネガティブな口コミには迅速に対応することが重要です。
お客様がどのような点に不満を感じたのか、できるだけ情報を引き出し、解決策を提案しましょう。
Google アナリティクスを利用して戦略を立てる
Google アナリティクスを活用して戦略を立てることは、オンラインマーケティングにおいて非常に有効です。Google アナリティクスは、ウェブサイトやアプリの訪問者データを詳細に分析でき、ユーザーの行動や流入経路、滞在時間など、さまざまな重要な情報を把握できます。このデータを基に、どの施策が効果的で、どこに改善の余地があるかを見極めることができます。
例えば、どのページが最も多く訪問されているか、ユーザーが離脱するポイント、コンバージョン率の低いページを特定することで、改善策を具体的に立てられます。また、ユーザー属性やデバイスごとのアクセス傾向を分析することで、ターゲット層に合わせたマーケティング戦略を練ることができます。
さらに、Google アナリティクスでは、リアルタイムでデータを確認できるため、施策を実施した後の即時反応を把握することができ、柔軟に戦略を調整できます。広告キャンペーンやSEO施策の効果を正確に測定し、ROI(投資対効果)を最大化するための重要な指標を得ることができます。
Google アナリティクスは、データに基づいた戦略的な意思決定をサポートし、より効果的なビジネス運営を実現するための強力なツールです。また、公式サイトがユーザーにどの位の影響を与えているか、どの層のユーザーが多いのかもチェックすることができます。
Googleアナリティクスの注意点
Googleアナリティクスを使用する場合は、決済画面(予約画面)と、宿を予約する決め手となったページを区別して分析する必要があります。
なぜなら、予約の決め手となったページを分析して活用することで、公式サイトにより多くの顧客を誘導できるからです。
ただし、トラフィックのソースを分析する場合、キャンペーンや割引広告経路の予約は、的確なデータとならないため注意しましょう。
コンバージョンの決め手となったページは、Googleアナリティクス内の「アシストコンバーション」で分析可能です。
また、上記のデータと合わせて、普段使用している旅館管理システムの顧客データを分析すれば、公式サイトやWeb広告の効果をより的確に把握できます。
6.CRM(顧客管理システム)を導入する
CRM(顧客管理システム)を導入することで、ホテルや旅館は顧客のデータを一元管理し、より効果的なマーケティングやサービス提供が可能になります。CRMを活用することで、顧客の予約履歴や嗜好、滞在時のリクエストなどを把握でき、個別に対応することができます。これにより、リピーターの獲得や顧客満足度の向上が期待でき、口コミやSNSでの評判が広がる可能性も高まります。
さらに、CRMはプロモーションや特典の提供にも役立ちます。顧客の誕生日や記念日などの情報をもとに、タイムリーなキャンペーンや割引を案内することができます。また、マーケティング活動の効果を測定する機能もあり、無駄な広告費用を削減し、ROI(投資対効果)を高めることができます。
一度CRMを導入すれば、手動でのデータ管理から解放され、業務効率が向上します。データの自動更新や分析機能により、顧客対応の質も向上し、結果として売上や利益の増加が期待できるでしょう。CRMは、現代のホテル業務において競争力を維持するために不可欠なツールと言えます。
まとめ
この記事では、旅館やホテルが直販率を上げ、利益率を向上させるための施策をお伝えしました。中小規模の施設にとって、OTAサイトへの掲載は、ホテルの認知度を高めるための有効な手段です。しかし、OTA経由の宿泊予約は、安くない手数料が引かれます。施設の利益をアップさせるために、今回ご紹介した施策で、直接予約の獲得を促進していきましょう。